「バンコクに住んでみたい」。
そんな夢を持つ方が、最近増えているのをご存知でしょうか。
私は不動産コンサルタントとして、これまで多くの日本人の方々のバンコク移住をサポートしてきました。
タイの活気ある街並み、美味しい食事、そして何より、日本と比べて驚くほどリーズナブルな物件価格。
しかし、エリア選びを間違えると、せっかくの海外生活が期待はずれになってしまうことも。
今回は、バンコクでの15年以上の不動産経験を活かし、エリア別の特徴と物件選びのポイントについて、具体的にお伝えしていきます。
コンテンツ
バンコクの主要エリアの特徴と選び方
バンコクの街は、それぞれのエリアが異なる魅力を持っています。
まずは、主要な3つのエリアについて、その特徴を詳しく見ていきましょう。
都心部(スクンビット周辺)での暮らし
「日本人がもっとも多く住んでいるエリアはどこですか?」。
この質問をよくいただきますが、間違いなくスクンビット周辺です。
BTSスカイトレイン(高架鉄道)のアソーク駅からトンロー駅にかけての地域には、日本人向けのスーパーマーケットや医療機関が充実しています。
特に、**スクンビットソイ55(トンロー)**は、日本食レストランや日本人向けの美容院が立ち並び、まるで東京の街を歩いているような感覚さえあります。
交通アクセスの面でも、BTSとMRT(地下鉄)の両方を利用できるため、バンコク市内のどこへでも移動が容易です。
例えば、アソーク駅からサイアム駅(バンコク最大の商業エリア)まで、わずか15分程度で到着できます。
ただし、この利便性には当然コストがかかります。
都心部の物件は、バンコクの中でも最も家賃が高く、1ベッドルームのコンドミニアムでも月額7万バーツ(約28万円)前後からが相場となっています。
新興エリア(ラマ9世・バンナー)
「将来性のある地域に投資したい」。
そんな方には、ラマ9世エリアやバンナーエリアがおすすめです。
特にラマ9世エリアは、バンコクの新しいビジネス街として急速に発展しています。
タイの大手デベロッパー、セントラル・グループの本社ビルやショッピングモールが建設され、オフィスワーカーの増加とともに、周辺の不動産価値も上昇傾向にあります。
一方、バンナーエリアは、スワンナプーム国際空港へのアクセスが良好で、大規模な商業施設MEGABANGNAがあることから、若い世代を中心に人気が高まっています。
これらのエリアの魅力は、都心部に比べて割安な物件価格にあります。
例えば、ラマ9世エリアでは、都心部の同じグレードの物件と比べて、20-30%程度価格が抑えられています。
郊外エリア(チャトゥチャック、ノンタブリー)
「子育てをしながらゆったりと暮らしたい」。
そんな方には、チャトゥチャックやノンタブリーエリアがぴったりです。
チャトゥチャックは、週末マーケットで有名な観光スポットですが、住宅地としても人気があります。
緑豊かなロットフェイ公園があり、週末には家族でジョギングやピクニックを楽しむ人々で賑わっています。
一方、ノンタブリーは、チャオプラヤー川の西側に位置する郊外エリア。
近年、パープルラインの開通により交通アクセスが改善され、大型ショッピングモールの進出も相次いでいます。
これらのエリアの最大の魅力は、広々とした住空間を手頃な価格で確保できること。
例えば、チャトゥチャックエリアでは、3ベッドルームのコンドミニアムでも月額4万バーツ(約16万円)程度から借りることができます。
また、比較的静かな環境なので、夜勤のある方や、小さなお子様がいる家族にも適しています。
エリア別の物件選びのポイント
バンコクで快適な生活を送るためには、エリアの特徴を理解した上で、自分に合った物件を選ぶことが重要です。
ここからは、私が不動産コンサルタントとして多くのクライアントをサポートしてきた経験を基に、具体的な物件選びのポイントをお伝えしていきます。
物件価格の相場とエリアごとの特徴
「バンコクの物件価格って、どのくらいなんですか?」
これは、私がもっともよく受ける質問の一つです。
実は、エリアによって価格帯が大きく異なります。
以下の表は、エリア別の一般的な物件価格相場です:
エリア | 1ベッドルーム | 2ベッドルーム | 3ベッドルーム |
---|---|---|---|
スクンビット中心部 | 7-10万バーツ | 10-15万バーツ | 15-25万バーツ |
ラマ9世・バンナー | 4-6万バーツ | 6-9万バーツ | 9-15万バーツ |
チャトゥチャック・ノンタブリー | 3-5万バーツ | 5-7万バーツ | 7-12万バーツ |
注目すべきは、同じグレードの物件でも、エリアによって最大で50%近い価格差がつくということです。
例えば、スクンビットエリアで月額8万バーツする1ベッドルームの物件と同じグレードのものが、ラマ9世エリアでは5万バーツ程度で見つかることも珍しくありません。
特に最近は、新興エリアでの物件供給が増えており、設備の整った新築物件を比較的手頃な価格で見つけることができます。
設備や周辺環境のチェックポイント
バンコクで物件を選ぶ際は、日本とは異なるチェックポイントがあります。
私がクライアントにお伝えしている重要な確認事項を、以下にまとめてみましょう。
まず、建物自体のチェックポイントとして:
- エレベーターの数と稼働状況
- 停電時の非常用電源の有無
- プールやジムなどの共用施設の利用時間
- セキュリティシステムの運用状況
- インターネット回線の種類と速度
次に、周辺環境として:
- 最寄りの駅やバス停までの実際の所要時間
- 日本食スーパーやコンビニの場所
- 病院やクリニックへのアクセス
- 近隣の飲食店の営業時間
- 洪水時の浸水履歴
特に、セキュリティとインターネット環境は、日本人居住者にとって重要な要素です。
例えば、私のクライアントの中には、リモートワークをされている方も多いため、インターネットの安定性は生活の質を大きく左右します。
現地での視察方法と注意点
「写真やビデオだけで物件を決めてしまってもいいですか?」
この質問には、必ず「実際に見てから決めることをお勧めします」とお答えしています。
なぜなら、写真では分からない周辺環境の雰囲気や実際の騒音レベル、朝夕の日当たりなどが、生活の快適さを大きく左右するからです。
現地視察の際は、以下のような時間帯を意識して見学することをお勧めしています:
- 平日の朝:通勤ラッシュ時の様子を確認
- 日中:日差しの強さと室内の温度を体感
- 夕方以降:周辺の飲食店の営業状況や治安を確認
- 雨天時:排水状況や建物の防水性を確認
また、視察の際は、必ず複数の物件を比較検討することをお勧めしています。
同じ予算帯で3〜4件の物件を見ることで、価格に見合った適切な物件を選ぶ目が養われます。
このとき、信頼できる不動産会社を選ぶことも重要です。
私のクライアントからは、スターツの口コミや評判について質問を受けることが多いのですが、実際の利用者の声を確認することをお勧めしています。
不動産選びで失敗しないためにも、スターツの口コミや評判から物件紹介サービスの実態を確認することをお勧めします。
特に重要なのは、物件内部だけでなく、建物のエントランスや共用部分の管理状態をしっかりとチェックすること。
これらの場所の手入れ状況は、その建物の全体的な管理レベルを示す重要な指標となります。
実際に住んで感じるバンコク生活の魅力
バンコクでの暮らしは、多くの日本人にとって想像以上に快適なものです。
ここからは、実際に住んでみて感じる生活の魅力と、知っておくべき現実的な情報をお伝えしていきます。
生活費と物価についてのリアルな情報
「バンコクの生活費って、本当に安いんですか?」
この質問に対する答えは、「場所と生活スタイルによって大きく変わる」というものです。
以下に、バンコクでの一般的な月間生活費の目安をまとめてみました:
費目 | スクンビット周辺 | 新興エリア | 郊外エリア |
---|---|---|---|
家賃(1ベッドルーム) | 7-10万バーツ | 4-6万バーツ | 3-5万バーツ |
光熱費 | 3,000-4,000バーツ | 2,500-3,500バーツ | 2,000-3,000バーツ |
食費(外食中心) | 3-4万バーツ | 2-3万バーツ | 1.5-2.5万バーツ |
交通費 | 3,000-4,000バーツ | 2,000-3,000バーツ | 1,500-2,500バーツ |
インターネット・携帯 | 2,000-3,000バーツ | 2,000-3,000バーツ | 2,000-3,000バーツ |
興味深いのは、家賃以外の生活費は、エリアによってそれほど大きな差がないということです。
例えば、電気代は冷房の使用時間に大きく左右されますが、最近の物件は省エネ設計が進んでおり、月3,000〜4,000バーツ程度に収まることが多いです。
食費に関しては、ローカルの食堂を利用すれば1食100バーツ程度から済ませることができます。
一方で、日本食レストランや高級店を頻繁に利用する場合は、日本とあまり変わらない出費になることもあります。
日本との違いと現地での暮らしの楽しみ方
バンコク生活の魅力は、単に物価が安いということだけではありません。
私が特に魅力的だと感じるのは、日本とタイの文化が程よくミックスした生活を送れることです。
例えば、朝は近所のカフェでタイ式オムレツの朝食を楽しみ、昼は日本食レストランでラーメンを食べ、夕方はルーフトップバーで夕陽を眺めながらカクテルを楽しむ。
そんな贅沢な一日を、日本での生活費よりもリーズナブルに過ごすことができます。
週末の過ごし方も、その選択肢が豊富です。
- チャトゥチャック・ウィークエンドマーケットでのショッピング
- ルンピニー公園でのモーニングヨガ
- バンコク近郊のビーチリゾートへの小旅行
- ローカル市場でのタイ料理教室
- 高級スパでのマッサージ
特に、マッサージや美容サービスは日本と比べて格段に安価で、週末のリフレッシュに気軽に利用できます。
ただし、生活習慣の違いに戸惑うこともあります。
例えば、サービスの時間感覚が日本とは異なることや、雨季の突然のスコールなど、最初は慣れるまで時間がかかる部分もあります。
しかし、これらも含めてバンコクならではの魅力と捉え、柔軟に対応していくことで、より豊かな生活を楽しむことができます。
まとめ
バンコクでの暮らしは、エリア選びと物件選びが成功の鍵を握ります。
ここで、重要なポイントを最後にまとめておきましょう。
- エリア選びのポイント
- 予算と生活スタイルを明確にする
- 通勤・通学のアクセスを重視
- 周辺施設の充実度をチェック
- 物件選びのポイント
- 必ず現地視察を行う
- セキュリティと設備を重点的に確認
- 管理状態をしっかりチェック
- 生活設計のポイント
- 初期費用と月々の生活費を具体的に試算
- 季節変動(電気代など)を考慮
- 医療機関へのアクセスを確保
最後に、海外不動産投資のプロとして、一言アドバイスを添えさせていただきます。
バンコクは確かに魅力的な都市ですが、拙速な決断は禁物です。
できれば短期の滞在を経験してから、長期の住居を決めることをお勧めします。
そうすることで、自分に合ったエリアと物件を、より確実に見つけることができるでしょう。
バンコクでの新生活は、きっとあなたに新しい発見と刺激を与えてくれるはずです。
まずは、この記事で紹介したポイントを参考に、じっくりと検討を進めていってください。